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ものづくり企業 新世代の経営戦略 vol.11 ロボティクスの転換期に。株式会社グローバックス(三重県桑名市)代表取締役・後藤大介さん
 日本が誇るロボット技術を産業界だけでなく社会全般に行き渡らせたい。B to BからB to Cへと舵を切ることで突破口を開こうと、株式会社グローバックスが東海地区唯一のロボット専門店「ROBO BASE(ロボベース)」を名古屋市中区大須にオープンさせた。仕掛け人は同社代表の後藤大介さん。30代の柔軟な発想がこれまでのものづくりを変える

海外の勢いを感じて帰国。生ぬるい日本に危機感を持つ。



「会社がどんな状況にあっても、社員教育の手は緩めない」と語る後藤社長。
 2007年9月に設立した株式会社グローバックスの母体は、私の父、後藤繁夫が代表を務める新日本工業株式会社です。新日本工業はFAシステム・自動化設備のプロミネントサプライヤーとして、自動車部品生産用の自動化設備を中心に、開発、構想設計から機械加工・組立・電気調整まで一貫して行っています。私は大学卒業後、メーカーや商社で経験を積み、25歳で初めて中国へ長期出張。新日本工業に入社して再度中国へ渡り、現地法人の立ち上げに一から携わりました。滞在中、中国の産業振興にかける意気込みと勢いを肌で感じ、外から日本を見るという客観的な視点を身に付けて5年前に帰国。その時、日本の生ぬるさや、現状維持に甘んじて守りに入っていることに強い危機感を抱きました。また、改めて自社を眺めてみると、自動車業界に特化し過ぎていて、非常にバランスが悪いなと感じました。当時はまだ景気が持ちこたえていたものの、ひとたび状況が悪化すれば取り返しのつかないことになる。早急に自動車以外の新たな柱をつくるべきだと考え、業種の枠を超えた産業用ロボットのスペシャリスト集団であるグローバックスを立ち上げたのです。

 今年で創業50年の新日本工業は実績や体力がある反面、小回りが利かないというか、フットワークが重いという欠点を抱えています。最初は同じ組織内で新しいチームをつくって新規開拓に乗り出しましたが、フットワークの軽さを重視して別会社を設立。技術、知識、ノウハウに長けた社員を選ぶとともに、中途採用の募集をかけて幅広くスペシャリストを集めました。グローバックスの役目は二つあります。一つは、グループの新しい柱を構築すべく自動車産業以外の顧客を戦略的に開拓すること。もう一つは、中小企業のメリット、つまりフットワークや臨機応変の対応力を武器にグローバル展開を図ることです。一昨年秋以降、厳しさを増すFA業界ですが、たとえ逆風の中にあっても新しい種をまかなければ展望は語れません。そしてまた、今ほど変化が大切な時はない。変化を恐れず、いや、変化こそが進歩であると信じ、新しい時代に立ち向かっていきたいと思います。

ロボット専門店「ROBO BASE」は出会いと可能性の宝庫。



生活を豊かにするロボット開発を進め、グローバルに活躍するリーディングカンパニーになるのが夢。「ROBO BASE」に自社開発のオリジナルロボットが並ぶ日も近い。
 自ら変化し、新しい種をまくという意味で2009年6月、グローバックスは名古屋市中区大須に東海地区唯一のロボット専門店「ROBO BASE」をオープンさせました。これまで産業用ロボティクスを追求してきた当社はB to Bがすべてでした。マーケットの縮小や設備の余剰など、企業の需要が期待できないなら、ニーズが潜在する一般消費者市場に目を向けようというわけです。今後はロボットが日常生活にどんどん入り込んできて、社会や家庭で人々がロボットと一緒に暮らす時代になるでしょう。B to Cのビジネスで先陣を切り、新しい活路を開くのが「ROBO BASE」の狙いです。開店準備にあたっては、日本を代表するロボットクリエイターなど多くの方のご協力をいただきました。ショップづくりという目的のためだけでなく、「子どもたちの理科離れを食い止め、具体的に体験させることでロボットへの興味や憧れを喚起する」というビジョンを共有できたことも収穫です。

 「ROBO BASE」では「ロボットと人間の共存共栄を実現させるための情報発信基地」をコンセプトに掲げ、各種ロボットの展示・販売を行うと同時に、地域の子どもたちに向けたロボット工作教室や、ロボットがダンスなどを披露するロボットパフォーマンスショーを実施しています。ロボット教室は今のところ、幼稚園児や小学生が対象ですが、ゆくゆくは大学生まで広げていきたいですね。若いうちからロボットと触れ合うことで知的好奇心が生まれ、科学の素養が育まれます。彼らはまだ何者でもないけれど、「ROBO BASE」での体験がきっかけとなって、将来、我々と一緒に研究開発に携わるかもしれないし、縁あって当社の一員になるかもしれません。また、人材育成の場としてだけでなく、年代や性別、職業を超えた多様な出会いを生み出す場所にもなってほしいと願っています。

経営は一人では成らず。個を伸ばすことで企業が伸びる。

 新しい柱の構築と併行して、この5年間、意識的に取り組んできたこと、それは社員の教育です。やる気のある社員に対しては、会社が費用を負担して外部のビジネススクールに通わせたり、中国の子会社で責任のある立場を任せたりして、成長意欲を力強く後押ししてきました。知識、技術、経験、判断力を備えた優秀なスペシャリストであると同時に、一人ひとりが会社全体を見ながら自分の役割を積極的に遂行する闊達な人材であってほしいと期待しています。グローバックスを皮切りに、今後も新しい事業部やグループ会社を立ち上げるかもしれません。私は常々、社員に「社長をやりたい人は手を挙げてくれ」と言っています。すべてのトップを私が兼務できるわけではないし、そもそも経営は一人でやるものではありません。トップダウンやワンマンといった過去の日本的経営へ回帰することなく、自らの判断でスピーディーかつ的確に動くことができる個の集合体をつくりたい。個の力を生かしきる「全員力経営」がこれからの時代のキーワードになるはずです。さらにはそれがES(従業員満足)につながり、企業を伸ばす原動力になると信じています。

 規模の大小に関わらず、景気動向など外的影響をダイレクトに受ける企業経営はタフな精神がないとやっていけません。未来ビジョンを描いたら、あとはくよくよ悩まず、ひたすら考えながら走るだけです。お客様はもちろん大事ですが、社員あっての会社であることを片時も忘れず、前向き、前のめりにチャレンジを続けていきたいと思います。

会社概要

株式会社グローバックス
〒430-0841 三重県桑名市和泉680
事業内容/ロボットシステム・自動化装置の開発、設計、製造販売、コンサルティング。
ホビーロボットの製造、販売、各種イベント企画。産業用ロボットのプログラミング・ティーチング。
従業員数/8名 創業/2007年9月